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外来に来られた患者様が診察を終え、会計のあたりに戻って来られた時が私の出番です。素早くお飲み物とおしぼりを用意して歩み寄りながら、さりげなく表情を伺います。体が辛そうな方には「大丈夫ですか?少し横になられますか?」、何か聞きたそうな方には「もしかしてドクターの説明で、わからないところがおありですか?」などとお声かけをさせていただきます。特に患者様はドクターに遠慮して、少しくらいわからないことがあっても「まあいいや」となってしまわれる方も多いので、私たちが「もう一度聞いてきますね」と言って、ドクターに再確認するととても喜ばれます。患者様の疑問や心残りを解消し、満足してお帰り頂くこと、それが私たちコンシェルジュの大切な仕事の一つです。


また来院されて受付をされる時のお手伝いも私たちの役目です。最近は診察券の受付に機械を導入する病院が増えました。石橋内科もそうなのですが、機械の操作が嫌さに病院から足が遠のく高齢者の方も多いと聞きます。そのようなことがないように、会話をしながら楽しく受付を済ませ、患者様が頑張ろうという気持ちになっていただけることを心がけています。いくら機械化が進んでも、そこに手と気持ちを添えることであたたかみのある接客は可能だと思いますので。

私たちコンシェルジュは白衣を着ていません。それは“私たちは病院側ではなく、患者様側の人間ですよ”という意味なのだと、コンシェルジュになった時に事務長から教えられました。だから私は、患者様の思いを代弁するつもりで病院内のスタッフとも接しています。

それでもまだまだ未熟なところだらけです。研修でウェスティンホテル淡路に行き、接客のプロから手ほどきを受けたのですが、ホテルマンの方々の足元にも及ばない自分というものを痛感しました。


お恥ずかしい話ですが、自分ではそこそこ出来ていると思っていたので余計にショックだったのです。だからこそ「常に自分が見られていることを意識する」ということ、そして「相手の方が何を思っていらっしゃるかを先読みする」という教えが強く心に残りました。こういう“気づき”の機会を数多く与えて下さり、成長へとつなげてくれる病院の姿勢にはいつも感謝しています。

石橋内科がコンシェルジュを導入してから10年が過ぎました。地元ではもうお馴染みで、皆さん当たり前のこととして受け入れてくださっていますが、一般の病院としてはまだまだ珍しいので取材などを受けることも多く、一見華やかな職業のように思われがちです。

でも私たちはドクターや看護師のように何かの専門家ではありません。その専門家と患者様をつなぐ橋渡し役、それだけです。だから本当は華やかでも何でもないのです。患者様が安心して医療を受けられるように、とにかく何でもしますというのが私たちの立ち位置なので、むしろ裏方の地味な仕事の方が多いと思います。


だから、自分のことよりも人を喜ばせるのが好きだったり、自分が話すよりも人の話を聞くことが好きだったりする人が、この仕事には向いているような気がします。そういう方に応募していただければ嬉しいです。

それでも「あなたがいるからこの病院に来るのが楽しみなんだよ」と言われたり、「あなたに励まされて乗り越えられた」と言われたりすると本当に嬉しい。続けてきて良かったと思います。患者様をおもてなししていると言いながら、励ましてもらっているのは私の方かもしれません。これからも感謝の気持ちを忘れず、一日一日を大切に、丁寧に送っていきたいと思います。